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コラム
日本人の防犯意識は世界でも最低レベル!?
2015/2/27 公開
鍵の専門家が丁寧に教えます!
本当の悪人はいない、という日本人特有の考え
実際に、過去に空き巣の被害にあったことのある50代の男性は、その経験をこう話します。「犬の散歩に出かけていたわずか20分足らずの間にやられた。
盗られたのはテーブルの上に置いていた財布から現金5万円だけで、金庫の中身は無事だった。不幸中の幸いだった。」その話しぶりは、まるで思い出を懐かしむように笑顔すら見えます。そしてこう続けるのです。
「ウチなんかに盗みに入ってもどうせなんにも無いのにな。こっちはカギまで壊されて、まったく良い勉強代だったよ。」今こうやって話せるのは、ご本人に何事もなかったからで、そのことは何よりですが、果たして本人は空き巣に入られたことにどれくらいの危険を感じていたのでしょうか。
少なくとも、万が一犯行の途中で犯人と鉢合わせしてしまったら命が危なかったかもしれないという風な話しぶりではありません。
むしろ、窃盗した者に対して、出来心でやってしまったのだろう、自分が不用意なのが悪かった。という意味合いにもとれます。
このように、私達日本人は心の何処かで「本当の悪人はいない」という思いを持っている人が多く、結果的にそれが防犯の意識をなくしているのではないかという声があります。
安全な国だからこそ薄い防犯の意識
一体、何が私達はそのような感覚を持ってしまっているのでしょうか。
それは、身の回りに本当の悪はない。自分の命に関わる危険な出来事など起こるはずがない。という、凶悪犯罪の少ない安全な国で生活する日本の環境が大きく関わっているのではないでしょうか。
当然、防犯意識というものは、周りで起こる犯罪に大きく関係します。事件すら無いところで、意識だけを高く持つことは簡単なことでは無いからです。
しかし、犯罪が少ないということが逆に、防犯の意識を損ねてしまっているという結果に繋がってしまうということも事実です。
さらに、厄介なことに、これは昨日今日始まったことではないのです。ある調査によると、江戸時代の日本と同じ時期のイギリスの犯罪発生率を比べてみると、なんと日本はイギリスの1/100程度しか犯罪が起きていないというデータがあるそうです。
一見、非常に喜ばしい様に思えますが、由々しき事態でもあります。
当時は住宅に施錠をするという習慣もなかったようで、訪れた諸外国人たちが、驚いて様々な記述を残しているくらいですが、海外の人間から見たら、日本人は良い意味で言えば「正直者」、悪い意味で言えば、「愚か者」だったのです。
それから100年以上の年月が立っていますが、未だにその伝統は受け継がれているようです。もしかして、遺伝子に組み込まれてしまっているのかもしれません。
スーパーで万引きをした者に対して、「初犯だし、次は警察呼ばなくちゃいけなくなるからね。もうしないでよ。」といって見逃してしまう様な国なんて他にあるでしょうか。
国民全体の防犯意識の底上げを
そんなことはない、というあなたは、もし今働いているオフィスのビルで火災報知機が鳴ったら真っ先にこう思いませんか?
「訓練かな」と。火事と窃盗は全く違いますが、その意識こそが自分の身の回りで窃盗なんて起こるわけがない。という考えに及ぶのです。
それだけ私達は今まで安全な環境に身をおいてきたということです。
本来であれば「犯罪が起こらない状況をつくる」というこが防犯の最も基本的なことになるわけですが、日本という国は非常に特殊で、しっかりとした防犯を行わなくても、犯罪が起こらない国だったのです。
護身用に銃も持たず、徹底した施錠の習慣もない。それでも安全に暮らしてこれたのです。しかし、凶悪犯罪が増加傾向にある昨今で、これまでのような防犯意識では自分の身を守りきれない時代になりつつあります。
せめて、空き巣や窃盗のような軽犯罪などはすぐ身の回りにあるのだ。そして、それを防ぐのは自分自身しかいないという意識改革を国民全体が行うことが今の日本には必要なのではないでしょうか。